ポリADPリボースはタンパク質を修飾する
今回は、ポリADPリボースによるタンパク質修飾の発見についてです。
論文
Enzymic adenosine diphosphate ribosylation of histone and poly adenosine
diphosphate ribose synthesis in rat liver nuclei
Nishizuka Y, Ueda K, Honjo T, Hayaishi O. JBC 1968 243 3765-3767
前回までのまとめ
細胞核の中に、NADのADPリボース部分を連結させて、ポリADPリボース
という物質を作る酵素があることがわかった。
今回の内容
ポリADPリボースを合成する酵素が発見されたが、合成されたポリADPリボースの役目は何か?
この論文では、ポリADPリボースはヒストンというタンパク質に共有結合できることを示した。
一方、DNAやRNAなどの核酸には結合しないことも述べています。
今日(2010年)では、SDSポリアクリルアミド電気泳動(SDS-PAGE)および
ウエスタンブロット法は、タンパク質の分析方法として一般的な手法です。
例えば、タンパク質のADPリボシル化を評価するとき、
① 標的となるタンパク質と32PラベルしたNADと、PARPを反応させて、
SDS-PAGEにより放射ラベルされたタンパク質の存在を検出する、
② 放射能物質を用いずに、ポリADPリボース鎖を認識する特異抗体を
用いてウエスタンブロット法により検出する、などの手法があります。
1968年当時は、SDS-PAGEは一般的でなく、ウエスタンブロット法は存在しません。
論文では、ペーパークロマトグラフィーやペーパー電気泳動、
密度勾配を利用した遠心分離による精製・分析が使われていました。
(電気泳動の歴史については生化夜話を参考にさせていただきました。)
http://www.gelifesciences.co.jp/newsletter/biodirect_mail/chem_story/
論文に出てくるヒストンタンパク質ですが、染色体の構造に重要なタンパク質です。
ヒストンの周囲にDNAがまきつき、規則的な構造をとることによって、長いDNAを
コンパクトに収納することが出来ます。
ヒストンは染色体の主要なタンパク質で、分子量が小さくて、塩基性が高い、
核の中にたくさん存在するというような特徴があり、古くから研究に使われていました。
この論文で、ヒストンとポリADPリボースの関係を示したものの、その役割については当時不明でした。
その後、1990年代後半からヒストン修飾に関する研究は、急激に発展することになります。
次々とヒストン修飾酵素の遺伝子クローニングが成功したためです。
そして、それぞれの修飾の役割がようやくわかり始めたところです。
また、この論文では、(プレリミナリーな証拠しかないがとの記述付き)
ポリADPリボシル化反応におけるDNAの重要性が述べられています。
細胞核からタンパク質を調製するとき、RNA分解酵素を処理してから抽出した
サンプルからは、ポリADPリボシル化がみられるのに対して、
DNA分解酵素処理したサンプルには、ポリADPリボシル化活性はみられない
と述べています。
後にわかることですがPARP1はDNAに結合する性質を持つので、
DNAの分解により、PARPをロスしてしまっていたことが考えられます。
現在の研究室では、いろんな分析機器や試薬が使われていますが、
研究ツールを開発することも重要なんだなあと思いました。
あと、研究ツールや測定キットに頼りすぎないで、自分で方策を考えることも重要ですね。
今回は斉藤和義の“歩いて帰ろう”です。
一番のおすすめは“歌うたいのバラッド”。いいですよー。
それでは。
論文
Enzymic adenosine diphosphate ribosylation of histone and poly adenosine
diphosphate ribose synthesis in rat liver nuclei
Nishizuka Y, Ueda K, Honjo T, Hayaishi O. JBC 1968 243 3765-3767
前回までのまとめ
細胞核の中に、NADのADPリボース部分を連結させて、ポリADPリボース
という物質を作る酵素があることがわかった。
今回の内容
ポリADPリボースを合成する酵素が発見されたが、合成されたポリADPリボースの役目は何か?
この論文では、ポリADPリボースはヒストンというタンパク質に共有結合できることを示した。
一方、DNAやRNAなどの核酸には結合しないことも述べています。
今日(2010年)では、SDSポリアクリルアミド電気泳動(SDS-PAGE)および
ウエスタンブロット法は、タンパク質の分析方法として一般的な手法です。
例えば、タンパク質のADPリボシル化を評価するとき、
① 標的となるタンパク質と32PラベルしたNADと、PARPを反応させて、
SDS-PAGEにより放射ラベルされたタンパク質の存在を検出する、
② 放射能物質を用いずに、ポリADPリボース鎖を認識する特異抗体を
用いてウエスタンブロット法により検出する、などの手法があります。
1968年当時は、SDS-PAGEは一般的でなく、ウエスタンブロット法は存在しません。
論文では、ペーパークロマトグラフィーやペーパー電気泳動、
密度勾配を利用した遠心分離による精製・分析が使われていました。
(電気泳動の歴史については生化夜話を参考にさせていただきました。)
http://www.gelifesciences.co.jp/newsletter/biodirect_mail/chem_story/
論文に出てくるヒストンタンパク質ですが、染色体の構造に重要なタンパク質です。
ヒストンの周囲にDNAがまきつき、規則的な構造をとることによって、長いDNAを
コンパクトに収納することが出来ます。
ヒストンは染色体の主要なタンパク質で、分子量が小さくて、塩基性が高い、
核の中にたくさん存在するというような特徴があり、古くから研究に使われていました。
この論文で、ヒストンとポリADPリボースの関係を示したものの、その役割については当時不明でした。
その後、1990年代後半からヒストン修飾に関する研究は、急激に発展することになります。
次々とヒストン修飾酵素の遺伝子クローニングが成功したためです。
そして、それぞれの修飾の役割がようやくわかり始めたところです。
また、この論文では、(プレリミナリーな証拠しかないがとの記述付き)
ポリADPリボシル化反応におけるDNAの重要性が述べられています。
細胞核からタンパク質を調製するとき、RNA分解酵素を処理してから抽出した
サンプルからは、ポリADPリボシル化がみられるのに対して、
DNA分解酵素処理したサンプルには、ポリADPリボシル化活性はみられない
と述べています。
後にわかることですがPARP1はDNAに結合する性質を持つので、
DNAの分解により、PARPをロスしてしまっていたことが考えられます。
現在の研究室では、いろんな分析機器や試薬が使われていますが、
研究ツールを開発することも重要なんだなあと思いました。
あと、研究ツールや測定キットに頼りすぎないで、自分で方策を考えることも重要ですね。
今回は斉藤和義の“歩いて帰ろう”です。
一番のおすすめは“歌うたいのバラッド”。いいですよー。
それでは。








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